デッサンで使う鉛筆の削り方で迷う人は少なくありません。
普通の鉛筆削りでよいのか、カッターを使うべきか、芯の長さはどれくらいが描きやすいのかが分かりにくいからです。
実際には、デッサンでは文字を書くときとは違い、鉛筆を寝かせたり立てたりしながら使うため、削り方ひとつで線の出しやすさや面の塗りやすさが変わってきます。
そこで本記事では、初心者でも理解しやすいように、道具選びから実際の削り方、失敗しやすいポイント、時短につながる方法まで順を追って整理します。
この記事を読むことで、カッターを使った基本手順だけでなく、芯の長さの考え方や、用途に応じた削り方の使い分けまでつかめるようになります。
芯の長さと描きやすさの関係
カッターと鉛筆削りの使い分け方
失敗しにくい削り方と仕上げのコツ
デッサンで使う鉛筆の削り方の基本を知る

- 鉛筆をカッターで削る理由は?
- デッサン向きの芯の長さ
- どのカッターがおすすめ?
- 削る前に用意したい道具
- 鉛筆削りはダメ?
鉛筆をカッターで削る理由は?
デッサン用の鉛筆をカッターで削る最大の理由は、芯を長く出し、線と面の両方に対応しやすくするためです。文字を書く場面では先端が短く鋭ければ十分ですが、デッサンでは鉛筆を寝かせて広い面を塗ることが多く、一般的な鉛筆削りの形状では芯の側面を使いにくくなります。
とくに描き始めの大きな陰影づくりでは、芯の腹を使って広くやわらかくのせる操作が求められます。一方で、輪郭や細部の調整では先端の鋭さも必要です。そこで、木部も芯も長めになだらかに削っておくと、1本の鉛筆で幅広い表現に対応しやすくなります。
また、鉛筆の硬度によって芯の性質は異なります。三菱鉛筆の公式情報では、Hは硬く薄め、Bはやわらかく濃い芯、FはHとHBの中間とされています。こうした性質の違いがあるため、手作業で削ると硬度ごとに芯の出し方を調整しやすくなります。たとえば硬いH系はやや長め、やわらかいB系は折れにくさを優先してやや短めに整える考え方がしっくりきます。
さらに、画用鉛筆の硬度の幅も広く、三菱鉛筆のハイユニ アートセットは10Hから10Bまでの全22硬度で構成されています。硬度ごとに描き味が変わるため、同じ削り方を一律に当てはめるより、芯の長さや尖らせ方を微調整できるカッターのほうが扱いやすい場面が多くなります。
要するに、カッターで削る目的は見た目を整えることではなく、鉛筆を画材として機能させることにあります。広い面を塗る、細い線を引く、芯の減りに合わせて再調整する。この一連の使いやすさを引き出せる点が、カッターが選ばれてきた理由です。
デッサン向きの芯の長さ
デッサン向きの芯の長さに厳密な正解はありませんが、一般的には文字用よりかなり長く出しておくと扱いやすくなります。実用面で考えると、木部を長めに削り、芯はおおむね1cm前後を目安に出しておくと、寝かせて塗る動作と立てて描く動作の両方に対応しやすくなります。
芯が短すぎると、広い面を塗るときに木軸が紙に当たりやすくなります。これでは紙面を引っかいたり、意図しない線が入りやすくなったりします。反対に芯を長く出しすぎると、特にB系のやわらかい芯では折れやすくなり、描いている最中のストレスが増えます。そのため、描き方と硬度の両方を見ながら長さを決めることが大切です。
目安を整理すると、硬いH系は比較的長めでも扱いやすく、HBやFは標準的な長さにしやすい傾向があります。やわらかい2B以上は、面を塗りやすい長さを確保しつつも、折れにくさを優先して少し控えめにしておくと安定しやすくなります。三菱鉛筆の公式情報でも、Hは硬い芯、Bは黒くやわらかい芯、Fは中間の芯と説明されています。
芯の長さの考え方
| 使い方 | 芯の考え方 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| やや短め | 折れにくさを優先 | 濃いB系や初心者 |
| 標準 | 面と線の両立 | HBやFの常用 |
| やや長め | 側面を使いやすい | H系や広い面の塗り |
芯の長さは、上手い人の形をそのまま真似すればよいわけではありません。自分がよく使う硬度、描く紙の大きさ、描写の細かさで最適解が変わります。まずは標準的な長さから始めて、折れやすいなら少し短く、面が塗りにくいなら少し長くするという調整が現実的です。
どのカッターがおすすめ?
デッサン用に使うカッターは、高価な専用品でなくても問題ありません。選ぶときに見るべきなのは、持ちやすさ、刃の安定感、そして切れ味を保ちやすいことです。大きすぎると細かな調整がしにくく、小さすぎると握り込みにくい場合もあるため、自分の手に無理なく収まるサイズが向いています。
また、切れ味の落ちた刃は芯折れや怪我の原因になりやすくなります。木部を削るときはまだしも、芯先を整える段階ではほんのわずかな引っかかりでも欠けやすくなるため、刃はこまめに折って新しい面を使うほうが安定します。
選び方としては、細身で扱いやすいもの、刃のブレが少ないもの、替刃の交換や折り取りがしやすいものが候補です。紙を切るカッターと兼用するより、鉛筆専用を1本分けておくほうが使い勝手は上がります。鉛筆を削ると黒鉛や木粉が付き、紙の裁断や工作と兼用しにくくなるためです。
なお、カッターの種類そのものについて公的な統一基準があるわけではありませんが、デッサン作業では刃を細かくコントロールしやすいことが何より優先されます。見た目やブランドだけで選ぶより、手元で扱いやすいかどうかを重視すると失敗しにくくなります。
削る前に用意したい道具
鉛筆を安定して削るには、事前の準備も欠かせません。必要なのは、デッサン用鉛筆、カッター、削りかすを受けるもの、そして仕上げ用の紙やすりです。新品の鉛筆をいきなりすべてカッターで削ろうとすると手間がかかるため、場合によっては最初だけ普通の鉛筆削りで下削りしておく方法も効率的です。
削りかすを受けるものは、ティッシュや紙箱、卓上の小さなごみ受けなどで十分です。机の上に木くずや黒鉛が広がると作業に集中しにくくなるため、削る場所を決めておくと後片付けまで楽になります。
紙やすりは、芯先の微調整や凹凸のならしに便利です。カッターだけで完璧な形に整えようとすると力みやすく、芯先を欠けさせることがあります。最後の仕上げだけ紙やすりに任せると、側面がなめらかになり、寝かせたときのタッチも安定しやすくなります。
さらに、短くなった鉛筆まで使い切りたいなら、補助軸や鉛筆ホルダーを用意しておくと便利です。こうした道具は削り方そのものとは別ですが、鉛筆を最後まで一定の感覚で扱えるため、描画の安定につながります。
鉛筆削りはダメ?
鉛筆削りそのものがダメというわけではありません。問題になるのは、一般的な鉛筆削りが文字を書く用途を前提に、芯を短く仕上げる設計になっていることです。そのため、広い面を塗る、鉛筆を寝かせる、芯の腹を使うといったデッサン特有の使い方にはやや不向きです。
ただし、普通の鉛筆削りにも利点はあります。速い、安全、均一に削りやすいという点です。カッターに不慣れな初心者や、小学生など安全面を優先したい場合には、無理に最初から手削りだけにこだわる必要はありません。下削りに使ってから、最後だけカッターや紙やすりで整える方法でも十分実用的です。
また、現在はデッサン向けの鉛筆削りも市販されています。アスカのえんぴつけずりき PSL124は、公式情報で芯先調整機構が7段階、ムダ削り防止機構付きと案内されています。カッターが苦手な人や、複数本を短時間で揃えたい人には選択肢になりやすい製品です。
鉛筆削りの選び方の目安
| 方法 | 向いている人 | 特徴 |
|---|---|---|
| 普通の鉛筆削り | 下削りしたい人 | 速く安全だが芯は短め |
| カッター | 形を調整したい人 | 芯の長さや形を自在に整えやすい |
| デッサン用鉛筆削り | 時短したい人 | 芯先調整がしやすい製品がある |
以上を踏まえると、鉛筆削りは使ってはいけない道具ではありません。一般の鉛筆削りは補助的に使い、表現の幅を広げたい場面ではカッターや紙やすりを組み合わせる。この考え方が実用的です。
デッサンで使う鉛筆の削り方の実践手順

- まず鉛筆削りで下削りする
- 木部を長めになだらかに削る
- 芯先は力を入れず整える
- 紙やすりで仕上げるコツ
-
デッサン鉛筆削り方の要点まとめ
まず鉛筆削りで下削りする
新品の鉛筆を最初からすべてカッターで削るのは、思った以上に手間がかかります。そのため、効率を重視するなら最初に普通の鉛筆削りで下削りし、そこからデッサン向けの形へ整えていく方法が扱いやすいです。
この方法の利点は、木部を一から大量に削る負担を減らせることです。特に複数本をまとめて準備する場合、最初の工程だけでも機械的に進められると、その後の細かな調整に集中しやすくなります。デッサン専用の鉛筆削りを使う場合は、より短時間で一定の形にそろえやすくなります。アスカのPSL124は、公式情報でデッサンに適した芯先に簡単に削れる設計、7段階の芯先調整機構、ムダ削り防止機構を備えると案内されています。
ただし、下削りの段階で完成形にしようとしないことが大切です。普通の鉛筆削りの形のままでは芯が短く、木部の傾斜も急なため、そのままではデッサンに十分対応できません。あくまで木部をある程度細くしておく下準備と考えると失敗しにくくなります。
また、硬度の違う鉛筆を一度に削る場合は、やわらかいB系だけは下削りの後も慎重に扱う必要があります。三菱鉛筆の公式説明では、Bは黒くやわらかい芯とされています。硬いH系と同じ感覚で力を入れると、先端を欠けさせやすくなるためです。
木部を長めになだらかに削る
下削りができたら、次は木部を長めに削り、芯へ向かってなだらかな傾斜をつくります。ここがデッサン用の形を決める大事な工程です。木部の傾斜が急すぎると、寝かせて描くときに木軸が紙に当たりやすくなり、面をきれいに塗り広げにくくなります。
削るときは、カッターを大きく動かすより、刃を安定させて鉛筆側を少しずつ回していくと整いやすくなります。深く一気に削ろうとすると、木部が欠けたり、勢いで芯まで削ってしまったりするため、薄く何度も重ねる感覚が向いています。
木部を整える段階では、まだ芯先を鋭くしようとしなくて構いません。先に芯を細くすると、その後の木部調整で折れやすくなるからです。まずは木部が十分に長く、先端へ向かって自然に細くなる形をつくり、その後に芯を整える順番のほうが安定します。
描きやすい形は、筆に近いイメージで考えると分かりやすくなります。側面を使って広く塗れる長さを持ちながら、先端では細部も拾える形です。見た目を尖らせることだけに意識を向けると、実際には使いにくい鉛筆になりがちです。木部から芯先までのつながりが滑らかかどうかを優先すると、紙の上での引っかかりが減り、扱いやすさが上がります。
芯先は力を入れず整える
木部が整ったら、芯先を仕上げていきます。この工程で最も大切なのは、力を入れすぎないことです。芯は木部よりはるかに欠けやすいため、木を削る感覚のまま押し込むと、先端が折れたり、芯の中心がずれて形が崩れたりしやすくなります。
芯先を整えるときは、カッターの刃をやや立て、軽く表面をそぐように動かします。鉛筆を少しずつ回転させながら、四方から均等に削ると中心がずれにくくなります。先端が片側に寄ると、線がぶれたり、描いている最中に欠けやすくなったりします。
とくにB系はやわらかく、H系は硬いという性質があります。三菱鉛筆の公式情報でも、Bはやわらかく濃い芯、Hは硬い芯と説明されています。そのため、2Bや4Bなどの濃い鉛筆は、H系と同じ長さ・同じ力加減で尖らせるより、少し短めで丸みを残したほうが扱いやすい場面があります。
また、芯先は針のように極端に細くすればよいわけではありません。確かに細部は拾いやすくなりますが、少しの接触で欠けることがあります。面を塗る段階が多いならやや長めの先端、輪郭や細部を多く描くならやや鋭めというように、描く内容に合わせて調整すると無理がありません。
芯先づくりは、見た目の鋭さよりも、紙の上で狙った線や面が出せるかどうかで判断するのがコツです。削ったあとに試し描きをして、線の引っかかりや面のムラが少ない形に寄せていくと、実用的な仕上がりになります。
紙やすりで仕上げるコツ
カッターだけで形を整えたあと、最後の仕上げに紙やすりを使うと、芯先や側面の凹凸をならしやすくなります。とくに寝かせて描くとき、芯の側面にわずかな段差があると、意図しない筋が入ることがあります。紙やすりで軽く整えておくと、タッチが安定しやすくなります。
使い方はシンプルで、芯先を強く押し付けず、軽く滑らせるように当てます。細く尖らせたい場合は先端を中心に、広い面も使いたい場合は側面までゆるやかに整えます。削りすぎるとせっかく出した芯が短くなってしまうため、数回あてて状態を見るくらいで十分です。
また、紙やすりは描画中のメンテナンスにも役立ちます。デッサン中は先端がすぐ丸くなるため、そのたびにカッターで大きく削るより、紙やすりで少し戻したほうが作業を止めずに済みます。短くなった鉛筆から粉を作る用途にも使えますが、日常的には芯先調整のほうが実用性は高めです。
デッサン専用の鉛筆削りを使う場合でも、最終仕上げまで完全に不要になるわけではありません。アスカのPSL124は公式に芯先調整機構を備えるとされていますが、より鋭くしたいときや、丸みを少し整えたいときは紙やすりの微調整が役立ちます。機械で大まかに形を整え、手で最終調整する流れにすると、効率と表現の両立を図りやすくなります。
デッサンで使う鉛筆の削り方の要点まとめ
- デッサンでは文字用より芯を長めに出すと面と線を使い分けやすくなる
- 一般的な鉛筆削りは芯が短くなりやすく下削り用として使うと扱いやすい
- カッターを使う目的は見た目ではなく描きやすい形に調整することにある
- 木部は急角度ではなく芯先へ向かってなだらかにつながる形が向いている
- 芯先を先に細くしすぎると木部を削る途中で折れやすくなりやすい
- まず木部を整えてから芯先を仕上げる順番のほうが失敗を減らしやすい
- H系は硬く長めでも扱いやすくB系はやわらかいため短めが安定しやすい
- FはHとHBの中間の性質があり常用しやすい硬度として考えやすい
- 刃は切れ味が落ちると芯折れや怪我の原因になりやすく早めの交換が安心
- カッターは高価さよりも持ちやすさと刃の安定感で選ぶほうが使いやすい
- 紙やすりを使うと芯先や側面の凹凸が整い寝かせたときのタッチが安定する
- デッサン向け鉛筆削りには芯先調整機構付きの製品もあり時短に向いている
- アスカのPSL124は公式に7段階調整とムダ削り防止機構を備えるとされる
- 三菱鉛筆のハイユニアートセットは10Hから10Bまでの22硬度をそろえている
-
自分の描き方と使う硬度に合わせて芯の長さと先端の形を微調整するのが近道

